~今回は、ゴルフルール「ティーイングエリア編」のご紹介です~
こんにちは!さまよえる競技ゴルファーのらいふれんどです。
さて、過去記事でもすでにご紹介しているように、2019年1月よりゴルフルールの大改正が行われますが、ルール内容そのものではなく名称が変更されるものもあります。
その内の1つが、従来から「ティーグラウンド」と呼ばれてきた、各コースのスタート地点。
今回ご紹介するのは、このスタート地点で頻繁に起こりがちなルールに関する事案に対する正しい処置と、マナーについての留意事項です。
この記事で綴られていること
2019年ルール改正「ティーイングエリア」に名称変更
従来の名称であったティーグラウンド(正式名称はティーインググラウンド)は2019年ルール改正により「ティーイングエリア」と名称が変更になります。
ティーイングエリアとは、ゴルフ競技を行うホールのスタート地点を指し、プレーヤーは各ホールこの場所からティーショットを行いプレーを開始します。
ティーイングエリアに関するルールやマナーはいくつか存在します。
「始め良ければ全て良し」、しっかりと覚えていきましょう。
スタート時間に遅刻した場合
スタート時間から5分以内に到着した場合には最初のホールで2罰打となります。
そして5分を超える遅刻は、無情にも競技失格という思い罰則が適用に。
まずは、決められたスタート時間前にティーイングエリアに到着してショットができる状態にしておかなければなりません。
これはルールと、マナー双方の問題になります。
競技に出場するわけではない、プライベートのゴルフであっても、遅刻は厳禁です。なぜなら、1人遅刻していると「事故に遭ったか」「何か急病か」など、同伴競技者が心配します。そしてコース側にスタート時間を遅らせてもらうよう、調整をお願いしますので、コースにも迷惑をかけます。
何より遅刻している本人が焦った精神状態でプレーするのですから良いスコアなど望めませんよね。目安はスタート時間の1時間前にはコースに到着し、余裕をもってスタートを迎えたいものです。
<プロトーナメントでの事例>
なんと、ベテランプロの宮本勝晶。2017年のダンロップフェニックスで、スタート時間に3分遅れたうえに、クラブ数超過(15本)のダブルパンチで4罰打を受けています。
(参考記事URL)
クラブ数超過(規則4-4)
プレーヤーは、14本を超えるクラブを持って正規のラウンドをスタートしてはならない。プレーヤーの使用クラブは、そのラウンドのためにスタート時点で選んだクラブに限られる。ただし、プレーヤーが14本未満でスタートしたときは、合計して14本を超えなければ何本でも補充することができる。
クラブの補充に際してはプレーを不当に遅らせたり(規則6-7)、そのコース上でプレーしている他のプレーヤーが自分のプレーのために選んだクラブを加えたり、借りたり、または、正規のラウンド中にそのプレーヤーのために、または、そのプレーヤーによって持ち運ばれている部品を組み立てたりしてはならない。
→違反があった各ホールに対して2罰打。ただし最高4罰打まで
正規のラウンドで携行できるクラブは14本までと決められています。
前日に打ちっ放しに練習しに行き、54度のウェッジにするか、56度のウェッジにするか迷って両方バッグに入れたままだったり、新調したパターにするか、エースパターにするか判断がつかずに合計15本になっているというケースはよくあります。
そのままスタートしてしまうとルール違反になります。
注意しなければいけないのは、使うか使わないかに関わらず「携行しただけで」ペナルティとなるということです。
朝一番のティーショットの前には、まず、キャディバッグの中身をしっかりと確認しましょう!
<プロトーナメントでの事例>
とても残念なことですが、最近この規則4-4への抵触事案が増えていて、特に女子プロトーナメントで目立っています。
一つの原因として、帯同キャディの存在があります。長年イ・ボミとコンビを組んできたカリスマキャディの清水重憲氏に代表されるように、キャディ兼コーチ的な関係となり、選手がキャディに頼りきってしまい、コースマネジメントから使うクラブの番手までキャディ任せ、なんてパターンが多いんですね。
こうなると、キャディバッグにクラブを入れるのもキャディとなり、競技スタート時点でキャディバックにクラブが何入っているか自分自身で確認しない選手も出てくるわけです。
事例は、スタートから6ホール目までバッグに「15本」のクラブが入っていることに気付かず4罰打を受けた2017年マスターズGCレディースでの葭葉ルミのケース。
前日の練習で使ったシャフト違いの7番アイアンをそのままバックに入れたままだったという「うっかり」ミスでした。
(参考記事URL)
ティー区域外へのティーアップ
ティーインググラウンドの外からプレー(規則11-4)
ホールのスタートでティーインググラウンドの外からプレーした場合、競技者は、2打の罰を加えた上でティーインググラウンド内から改めて球をプレーしなければならない。
競技者が誤りを訂正しないで次のティーインググラウンドからストロークをしたときは(ラウンドの最終ホールでは、誤りを訂正する意思を宣言しないでパッティンググリーンを離れたときは)、競技失格となる。
→2罰打の上、正しくショットし直す
現行ゴルフ規則が示すティーインググラウンド上での「区域」とは、色々な形に造られた一対のティーマークを結んだ線上と、それぞれティーマークの直線に後方、2クラブレングス(クラブは何でもよい)以内で作られた長方形の内部をいいます。
この長方形から外れた場所にティアップして打ってしまうと区域外からのストロークとしてペナルティの対象となります。
実際に線が引かれているわけではないので、ティーマークをしっかり見て判断しなければなりませんが、時おり目の錯覚からティーマークを結んだ線よりも前に出てティアップしていることがあります。
また、コース設計者の罠により、打って行く方向と、ティーマークが示す方向とが異なっているケースもあります。
また、これもよくあるミスですが、ティーマークと灰皿を間違えてティアップしてしまうケースもあります。
普段から2つのティーマークを見比べてティアップする習慣をつけておいてください。
それでもなんか怪しいなぁ・・・と思ったら、2つのティーマークを並べて見られる場所に立ち、見比べてみてください。
自分だけではなく、同伴競技者が明らかに区域外にティアップしている場合には、ひと声かけてあげるのもスポーツマンシップです。
ただし、区域外のストロークを禁じているのはティアップの場所だけで、スタンスが区域外でもペナルティはありません。
打順間違え
「故意」か「やむをえない」かは別として、打順間違えについては罰打はありません。
ゴルフの打順はティショットの場合には前のホールのスコアが良かったプレーヤーから、セカンドショット以降は「遠球先打」といってカップから遠い順番に打って行きます。
朝イチのスタートホールでは、1~4まで線を引いたおみくじのような金属の棒が用意されており、それを各自引いて打順を決めます。
ただし、自分の順番が来てもまだ用意ができていなかったり、トイレに行って遅れてしまいそうなときにはこの打順に限らず「準備ができた人から打っていく」のもやむをえないので、問題ありません。
むしろ、2019年の改正ルールでは準備ができた人から打って行くことを推奨しています。
ここで、1点、例えばグリーンでほぼ同じライン上にボールが止まった場合、カップまでのボールの切れ方や転がりを相手に見せるために、故意に近い人が先に打つのはルール違反として、競技の場合には失格になるという、厳しいペナルティが科せられますので注意してください。
オーナー?オナー?
よくティグラウンド上で「はい、オーナーさんは誰?」などという会話を耳にしますが、正しくは「オナー」です。
これは英語の「honor」(栄誉の意)から由来しており、スコアが良い人が最初に打つので栄誉ある人ということで「オナー」と呼びます。
さりげなく「オナーさん、打てるよ」などと言うと、カッコいいです。
★通(ツウ)の打順の決め方★
さりげなく「打順決めるよ」と言って、自分を含めて東西南北にプレーヤーを立たせ、ポケットからロングティを取り出し、4人の真中でクルクルと回転させながら真上に放り上げます。
そしてティが地面に落ちた時に、とがった先が向いた人をオナーに決める。
これは元来スコットランドでやっていた打順の決め方ですが、さりげなくやるとちょっとツウっぽくて良いと思います。
練習器具の使用
気をつけなければいけないのは、練習器具です。
最近は様々な形状の練習器具が発売されていますが、特にヘッドとシャフトで構成され、クラブとみなされる形状のものは14本以内なら無罰、15本になればルール違反となります。
また、クラブの形状をしているが規定に適合しないスイング練習器具は携行するだけで競技失格という厳しい裁定が下されます。
野球のバット様の形状のものや棒状のものは携行している限りは無罰ですが、いずれもホールの合間や待ち時間の間に使用して練習すると失格となりますのでこれも注意が必要です。
無用の誤解を招かないためにも抜いて来るか、最悪ロッカールームにでもしまっておきましょう。
<プロトーナメントでの事例>
2010年のシーズン終了間際のカシオワールドオープンでの出来事。シード争いをしていた桑原克典が、前半終了後の練習グリーンで無意識にストレッチ用の練習器具を振って失格に。逆転シードも水の泡となった、まさにやってはいけないミスをした事例でした。
(参考記事URL)
ティーからの距離や番手を同伴競技者に聞く
アドバイス(規則8-1)
正規のラウンド中、プレーヤーは次のことをしてはならない。
(a)自分のパートナーを除き、そのコース上でその競技に参加している人にアドバイスを与えること。
(b)自分のキャディー、パートナー、そのキャディー以外の人にアドバイスを求めること。
→2罰打
これはどういうことかと言うと、キャディ以外の競技者や部外者に
aプレー上の決断
bクラブ選択
cストロークの方法
この3項目に影響を与えるような助言をすることも、求めることもゴルフでは禁止されています。
上空の風向きが読めず、思わず前に打った人に「いま、何番で打ったの?」と訊くことはもちろん、これに答えてしまうと、どちらも罰せられます。
また、「今はオーバースイングになってたよ」とか、「打ち急いでるよ」などとアドバイスをするのも禁止です。
これはアドバイスを求めた人も、答えた人もともに罰せられますので注意してくださいね。
ただし、「公知の事実」、例えばコースの形状や距離など、ヤーデージブックに記載されているような、誰もが知りうる情報は教えても罰はつきません。
競技にも出場する上級者はラウンド中、まずアドバイスはしません。
アドバイスを求めるならラウンド中ではなく、昼の休憩の時に求めてみましょう。
的確に教えてくれると思いますよ。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
ゴルフルールはたくさんの規定があり、しかもかなり細かく複雑なものとなっていますよね。
いちいち覚えるのが大変とか面倒くさいと思う事もあるかもしれませんが、当サイトでご紹介している、よく起こりがちなトラブルに関するものだけでもしっかりと覚えておきましょう。
ルールに沿って正しく処置を行えば、「紳士的なゴルファー」としてゴルフの技術よりもむしろ同伴競技者の尊敬の念を集めますし、真剣にゴルフに取り組む姿勢が評価されて、次もきっと誘ってもらえると思います。
そして、競技ゴルフをやっている方でシングルプレーヤーを目指している方なら尚更、シングル査定ではそのうよう姿勢を厳しくチェックさます。
「あれっ? こういう時ってどういう処置をすればいいの?」と同伴競技者に訊かれて、的確に答えてあげると、なによりかっこいいゴルファーになりますよ。
では、今回はこのへんで。